■古きよき時代の大工 |
|
先代は、朝は誰よりも一番早くから、夜は一番遅くまで仕事に打ち込んでいました。食事の時も話は仕事のことばかりでした。 |
|
■創業時の大阪の街 |
|
大阪はビルがまだ数少なく、住宅も密集していませんでした。 |
|
■大工の面接の心得 |
|
大工職人の面接は道具箱。道具を見れば腕の良し悪し、性格もわかります。賃金もそれで決まりました。 |
|
■目寸法と目さしがね |
|
必要ないところまで、いちいち測らなくても目で見て直角と大体の寸法を掴まないと作業のロスが多くなります。荒切りの時は、それくらいの勘を働かさないと、いけません。
さしがねで印を付けなくても、目視の勘で直角に木が切れるぐらいでないと手間が掛かりすぎ、無駄な時間を費やすことになります。手を抜くわけではないけど、今でいうコストパフォーマンス。勿論、きっちりとする時は人一倍きっちりとしました。 |
|
■便所の床張替え |
|
便所の床張替え(昔は汲み取り式)は棟梁と弟子の仕事でした。上に立つものが人の嫌がる仕事をしなければ、という教えです。 |
|
■棟上と「げん」 |
|
棟上は、その家の「げん」を上げるための大事な儀式。みんなで骨組みが上がって初お目見えの家をお祝いしてやります。らんとあかん。大工職人には晴れがましい日です。 |
|
■棟上式とお酒 |
|
昔は棟上の日、夜の宴会から歩いて帰るとお施主が近所から祝酒をケチったと言って笑われました。こんな風習のため、歩けなくなるまで飲まされたものです。しかし次の日の朝は、誰よりも一番先に現場へ行き、仕事をするのが棟梁の心意気です。 |
|
■大事に使って貰いや |
|
家が出来てお施主さんに引き渡す時は可愛い娘を嫁に出す気分。最後の日は玄関で両手を合わせて「大事に使って貰いや」と、お祈りして引き上げるました。
大工棟梁は町の中心人物で、よく仲人を頼まれました。 |
|
■大工さんの天気予報 |
|
1. |
一日雨の3日降り:その月の一日に雨が降るとその月雨の日が多い。 |
2. |
雷三日:夕立、雷は3日続く。 |
3. |
早朝、雨音で目が覚めるような雨は仕事に掛かる8時ころには上がる事が多い。 |
4. |
仕事の始まる頃に降り出した雨は一日中降る。 |
5. |
あほの喜ぶ10時晴れ:朝からの嵐のような雨が10時ごろに上がって、少し晴れ間が見えてきても油断はするな。3時ごろにもう一度ふりだし午後の雨のほうが大きい雨になる。 |
6. |
大霜のあさって:霜の多かった日の2日後ぐらいは雨になる。 |
7. |
月に傘が被ったような状態は雨が近い。 |
8. |
上弦の月受ける様な形のきれいな月は雨が近い。 |
|
|
■自己満足の戒め |
|
売価100万円の仏壇も裏は荒木のままです。全く意味の無い所に手間を掛けず、その分必要なところに手を掛けなければ、いけません。配分が大事。こんな気使いで職人の自己満足を戒めました。 |
|
■親父のにおいは木のにおい |
|
先代は本物の大工でした。猪谷工務店はその心意気を引き継いでいきます。
先代はん、素晴らしい教え、ほんまにありがとう! |