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2002年6月 |
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皆さん、お元気ですか。暑くなってきましたね。六月の始めは、暑いとはいえ、私の住む大阪はまだ、さわやかさが残っています。
桧と芝の玄関で、うつら、うつらともの思いに耽っていますと、公園からは、コクチナシの甘いロマンチックな香りが漂ってきます。少々、図々しいかなと、思いながら身体を事務所の桧の床板に寝かせてみると、本当に気持ちの良いこと。天国、極楽とはこのことかもしれません。
身体が幸せを感じて満ち足りれば、心も幸せ気分。気候不順な季節ほど、家という器の大切さを思う、今日この頃です。巷では、飼い主の無理解のため、不幸な犬が多いと聞きます。それに比べ、私はなんと幸せな犬であること。
飼い主様に対して、こんなに謙虚にありがたみを感じている私なのに、奥さんは世間の立派なお犬様、例えば、盲導犬や介助犬と比べて、私が劣ることを責め、やい、やいと皮肉を言うのです。私も彼たちの立派な働きには、頭が下がりますし、同じ犬として誇りにも思っています。でもね、それぞれ、持って生まれた、分というものがあると思うのです。
何せ私は父親の分からない雑種。のり缶ひとつと交換に、貰われてきた子。少しくらい足らないところは、目をつむってほしいです。ご近所の皆様の癒し犬という、役割で満足してはいただけないのでしょうか。上を見ればきりが無い。下を見ればすぐ行き着く。これは奥さんが常日頃、私に対して言っていることですが、心の居心地の悪いときは、優しい社長さんと木の香りだけが頼り。社長さんこれからも私をよろしくね。奥さんのトゲのある言葉を聞きながらも、優しい木に囲まれて、癒されている私です。
さてさて、こんな私が全国区になりました。猪谷工務店にホームページとやらが出来ました。勿論私のコーナーもあります。これも社内でのパソコン担当の佐藤さんのお陰。「“まる”のコーナーも作ってあげるわね。」って佐藤さんはやさしく言ってくれましたもの。
捨てる神あれば、拾う神あり、とか言いますよね。あっち向いて(奥さんの方)泣き、こっち向いて笑い。平々凡々な日々をおくっているように見える犬も、心は忙しい。皆さんこの辺り、お分かりいただけますかしら。私のような駄犬も、高等な精神の持ち主だという証拠に、先日のワンワンドック(犬の健康診断、人間ドックの犬番です。)の結果、白血球の中の好酸球の数値が少し高いとか。これって、ストレスの影響が大きいのですって。
奥さん、もっと私に優しくしてよ。意地悪をするかと思えば、気まぐれに突然抱きついたり、せっかく、桧の上でお昼寝しているのに、耳を引っ張って、その上大声で「“まる”大好き!大好きよ!」と叫んだりしないで下さい。ほんとうに疲れること。
優しい社長さんは、先日ストレス解消に、室生のお山に連れていって下さいました。やっぱり、緑いっぱいのに環境は、最高。小さな鼻の穴と大きな口で、犬風の深呼吸をし、杉のお山の中を飛び跳ねているうちに、つい時間を忘れてしまいました。
私、なにせ時計を持ってないのです。お陽様の傾きだけが頼り、いつまでも明るいこの季節、遊びたい気持ちばかりです。
帰る時刻になっても私がいないと、大騒ぎになりました。社長さんは40分も探して下さったとか。勿論あとで、奥さんから大きな雷が落ちました。だけど杉の木の中で走りまわるのは最高。日頃のストレスも飛んでいきます。駆け回りながら、私は幸せな犬、社長さんありがとう。奥さん、イーダ!と山に向かって言っていました。
今月は色々、脱線の多い“まる”のコーナーでしたが、お伝えしたいのは、木々はストレスを解きほぐすということと、猪谷工務店のホームページ開設のおしらせです。アドレスは、今月の『いのこう通信』に掲載しております。皆さまよろしくね。
では、また次号でお会いしましよう。梅雨時お身体大切になさって下さい。
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2002年8月 |
皆さん、お元気ですか。ヒヤー!暑い暑い、助けて。
7月号はお休みさせていただきましたのに、泣き言など言ってはいけない、と思ってはいるのですが、やっぱり暑い!このところ私は、玄関の桧の板の上に寝転んだまま。暑い時は、ここが一番気持ち良いのです。
コンクリートと違って、蒸れるような熱さがありません。夏こそ自然の木のありがたさを身にしみて感じている、私です。
お客様がお越しになっても、だらけた寝姿で失礼しております。社長さんは「“まる”のために、玄関、桧貼りにしたようなもんやな。」とおっしゃっていますが、只今の私は、この暑さを凌げるのでしたら、プライドも何もかも、かなぐり捨てて、自分の身の過ごし良さ、のみ考えています。時々、奥さんが「すみません、図々しい犬で、またぐなり、踏むなりして下さい。」とお越しになった方に、頭を下げていますが、たまには借りを作ってもよいかと、ボーとしながら考えています。でもきっと、この借りは後で、手ひどいしっぺ返しがくるのでしょうね。だって奥さんは、意地悪で、ひつこい性格だもの。でもやっぱり、我が身の幸せが一番大事。桧の上で寝転んでいよっと。
お昼寝の夢は、室生のお山で食べたスイカのこと。春に植えたジャガイモが上出来で、これも美味しかったですが、私はスイカが、大好物。大きなのは、前足で端を押さえて、スイカの汁が、跳ね返って飛ばないように、気をつけながら、赤い実をいただきます。勢い余って、白い薄皮どころか、堅い皮まで食べていることもあります。それほど私は、スイカが好きです。お昼寝の夢って、なんでこうも幸せ気分のことが多いのでしょうか。
毎年のことながら、相変わらずのだらけぶりですみません。反省。
こんな私の夏の唯一の楽しみは、猪谷工務店恒例の、八月の「子供工作教室」さすがにこの日は、張り切ります。だって、私みんなのアイドルだもの。完成した作品と一緒に写真におさまったり。なにを作るかの相談にのったり。嬉しい忙しさで、お昼寝の時間もないくらいです。人間、いや犬だって、生き甲斐があると、しゃっきりするものです。
日頃、自分の手で大きな木を切ったり、トンカチを使ったりなんてこと、最近の子供たちってしないですよね。だから工作教室の日は、みんな目が輝いています。お父さんが、おもわぬ力を発揮されるのも、こんな時。子供たちもお父さんを尊敬の目で見ていますもの。私も、そういう光景をみると、なんだか幸せ気分になります。
みんな思い切り頑張って、いい汗かこうね。待っていますよ。私もおめかしして、一緒に写真を撮ってもらいます。忘れないでね。
まだまだ、暑い日が続きますが、寝冷えなどなさらないように、皆さまお身体大切になさって下さい。私は、只今からお昼寝タイムです。奥さんの嫌味が、頭の上を通っていく。
桧の板の上は気持ちのいいこと。
おやすみなさい。 |