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「関西と関東の建築のちがい」


今年は猛暑ですね!

子供の頃、昭和35年ごろまでは、大掃除が、町会ごとにありました。
その日は近所中、朝早くから、買って貰った新しい鞋草履を履いて、家族総出で、掃除にかかります。
まず畳を上げて、戸外に出し、夏日に干してから、竹の叩き棒でパンパンパンパンと叩いて埃とダニをたたき出し、その間に、家の内の掃除をします。
サボっていたらついでにお尻を、同じ棒で、パンパンと叩かれました。ああ痛かった・・・

畳の下の板も簡単に外せるようになっていて、(番号がついています)床下に潜って、クモの巣を取ったり、白い粉薬を撒いたり、(今は使用禁止かも?)知っておられる方教えてください。 兄弟が多かったので「ワイワイ、ガヤガヤ」と、一日お祭り気分でした。

昔の畳は今より随分重かったように思います。
近所の友達や、兄弟に負けまいと、ふらふらしながらでも一人で持ち出せるようになったのは、何歳ぐらいだったでしょうか。休憩に、みんなで食べた、かき氷や西瓜の美味しかったことや、隣近所からアイスキャンデーの差し入れがあったりして、平和な時代の楽しい夏の思い出です。     これぞ日本の夏!!

そこで今月は畳の寸法に付いて話します。
最近の家は畳の部屋が少なくなって来ましたが、やはり、ごろりと横に成った時の感触は、やっぱり最高ですね。日本に生まれて良かった・・・・と思います。
昼寝の時間はなどありません。
あくまで希望!! できたらいいな・・の想像の世界です。
さて、昔の関西地方の畳は、今の畳より一回り大きく、重かったのです。
さてこれから 勉強です。
「モジュール」と言う言葉をご存知ですか。先ず、その説明から始めます。
皆さんも自分の家の平面図を書く時に、白紙の紙より、方眼紙をご用意されますね。
そして、二桝の正長方形を畳一枚の大きさに見たてて、部屋割りを書いていかれると思いますが、その方眼紙の一桝の大きさを、1グリッドと呼びます。

即ち、半間の柱の芯々寸法がモジュールです。最近は91cm(3尺)で組み合わせる間取りが多く、柱の芯々寸法が3尺で、柱の太さ10.5p角のとき、内寸は二尺六寸五分約80pです。(これを910モジュールといいます。)

畳の標準寸法は80p×171cmで、江戸間畳(関東間)といいます。
今の家は殆どがこの寸法です。
これで間取りを計画しますと、
4グリッドとか、6グリッドとか、部屋の大きさが変わるごとに、畳を寸法切りして合わしますので、6畳間の畳は8畳には嵌りません。図で書かないとややこしいでしょうか?

ところが、昔の大阪は、畳と家具は同じ扱いで、引越先の家に畳も運んだそうです。そのため、畳に合わせて柱芯の寸法を決め、モジュールを変えていきますので、8畳も6畳も4畳半も、どの部屋にも同じ畳が使えます。

寸法は3尺1寸5分(95.4cm)×6尺3寸(190.9p)です。
この畳を並べて6畳とし、その外に柱を立てて、六畳の柱芯々寸法にしています。
大工さんの墨出しは、江戸間に比べてややこしいですが、
梁桁(横架材)用木材の既製品寸法が、ぎりぎりまで使えて切り屑もあまり出ません。

昔の大阪的合理性から生まれた計算でしょう。
部屋の大きさ比で6畳の、長辺、2間で28.4p、短辺で24p長く、面積で1.7u違ってきます。
これを関西間畳といいます。

このほかにも、関東と関西では大工仕事でいろいろと違うところがあります。
総じて関西のほうが技術的に進んでいると、此方の大工は自負していたようです。

現在は東京一極集中で建築関係の情報量は関東が格段上ですが、
京都、大阪の「上方関西」の古き良き伝統は、負けてはいないと思います。
具体的な違いに付いては別の機会にご紹介します。

こんな話をしますと、育った実家の事、情景が隅々まで思い出せます。
愛着の持てる、長持ちする家を造って、

其処で育つ子供に、代々受け継がれる家。

お読みいただいていかがでしたか。心の故郷になるような家づくりをしていかなければと感じたのは私だけでしょうか。

それでは今月はこの辺で終わります。皆さま暑さ厳しい折お体ご自愛下さい。
 

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